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日本の技術、人、大切なものを守るためにできることをーキャリアコンサルタント小島浩子さん

小島浩子先生
キャリアコンサルタント

〝経営者〟と〝従業員〟両方の視点でキャリアコンサルティングを行い、日本の雇用を守ることに貢献!過去のキャリアカウンセリング実績は15,000人以上。
大学卒業後、株式会社神戸製鋼所での役員秘書、シンガポール航空CA(客室乗務員)などの経験を経て、現在は「中小企業のホワイトナイト」として経営者、従業員に個性分析テストACSを活用したキャリアコンサルティングを行っている。特に人手不足が深刻な問題になっている企業に対し従業員の定着を目的として、「人が辞めない職場作り」と称し、人間関係に特化したサポートに注力している。
また、キャリアコンサルティング業務に加え、CAを目指す若年者のメイクや面接指導も今年から本格的に開始した。
【資格】
・キャリアコンサルタント
・2級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格)
・対人スキルトレーナー (株)コンシャスインターナショナル
・ビジネス・メンター(一般社団法人ビジネス・メンター協会)
・メンタルヘルス・マネージメントⅡ種
・認定メイクセラピスト(メイクセラピー検定特級合格)
・(株)コンシャスインターナショナル メイクセラピスト養成講座修了
・カラーイメージコンサルタント
・JHMA認定 ホスピタリティ・コーディネータ

ご存じですか?
日本の企業の約9割は中小企業が占めていますが、その中小企業が人手不足の倒産や、後継者不足のため事業承継ができず、貴重な技術が失われていることを。

キャリアコンサルタントの小島浩子さんは、個人のキャリア支援にとどまらず法人支援も行い、働く人々と企業の架け橋となることを願って活動されています。

“日本の貴重な技術や雇用を守るために”日々奮闘されている小島さんに、この仕事にかける思いと熱意についてうかがいました。

働く人々と経営者の架け橋に

個人のキャリア支援だけではなく、どうして法人をサポートしたいと思ったのですか?
法人向けのカウンセリングに行く機会があったんですが、その時、経営者の悩みが切実だと痛感しまして。
従業員にはもちろん愚痴は言えないし、家庭でも飲み屋でも言えない(笑)
想像以上に孤独で、すごく悩みを抱えているんですね。それを知り、個人支援だけではなく、経営者をも含めて会社全体をサポートしたいと思うようになりました。
なるほど。そういうわけだったんですね。具体的にはどのようにサポートされていますか?
理想としては、働く従業員と経営者の架け橋になりたいと思っているんです。
ですので、まずは従業員の話をしっかりと聴く。そのうえで、こうしないといけないよではなく、社長はこういうふうに思っているとか、こういうふうに考えているよとか、社長の思いを従業員に伝えるようにしています。

また逆に、細かい従業員の悩みや申し出はなかなかすべてがとおるわけではないですが、そもそも社長自体がそれを知らないことも多いので、従業員の思いも必ず社長の耳には入れるようにしています。
まず最初の段階はそこなんです。しっかりとお互いにコミニケーションがとれていないのでそこを打破します。

お互いの通訳のようにしっかりと橋渡しをされるわけですね。それほど双方をつなぐのは大事ですか?
大事ですね。と言うのも、あまりにもお互いの気持ちが伝わっていないことが多いからなんです。世代も違えば考え方も違うので、ギャップはあって当然なんですが。
でも、事業というのは、働く人の気持ちと経営者の気持ちが同じ方向に向かないと上手くいかないんですよ。だからこそ、必ずきちんとサポートします。
あと、個性診断テストACSというのも使用されると聞きましたが。
個性診断テストACSとは、個人本来が持つ”CQ(コミュニケーション指数)を12の要素(充実性、感受性、自立性、創造性、開示性、融和性、尊重性、共感性、表出性、幸福性、交流性、会話性)で、読み解く分析テストのことです。

人には組み合わせの相性というものがあって、能力がある人でも誰と働くかで能力が発揮できたり、できなかったりするんですね。
ACSとは、その人の能力を最大限に生かす人事配置ができるもので、社内でチームをつくる時や、人事の適材適所を考える時に使用することができます。

経営者にとっても2番手や、部下を採用する時にどういう人が仕事がやりやすいか、相性がいいかわかるので、とても便利なものです。
一番の効用は、社内環境が整い、人間関係が良くなることによって、生産性が上がることですね。

生産性を上げるためには、人と人との関係が整うことが重要なんですね。
はい。例えば今年、ラグビーワールドカップで日本チームの躍進が感動を与えましたが、数年前の時と今のなにが違うか?他国のチームと比べて特に、最新設備を整えたわけでもないですし、まったく違うことをしたわけでもないと思うんです。
結局は、「ひとりひとりの思いが変わり、人間関係が良くなった。それによってチームの団結力が高まった。」というマンパワーの力なんですね。企業も同じことなんです。

縁あって一緒に働く人達を応援したい

外国人労働者のサポートも行われているのですね?
そうですね。現在の日本では、少子高齢化の人手不足によって外国人労働者の力に頼らないといけない時代がきます。そいう意味でも重要だということと、あと私自身、外国で働いた時にとても大変な思いをしたので、同じように異国に来て働く方の力になれたらという思いからサポートしています。
国が違うと文化や国民性もまったく違うので、ささいな違いが大きな摩擦になるんですね。
それはとても大変そうですね。
大変です。私も実際何度も辞めたいと思いましたから。せっかく外国から日本にきて頑張ろうと思っていても、なじむことができず辞めてしまったら、とてももったいないことだと思うんです。また、経営者にとってもすぐに離職されることは死活問題になります。
確かに、外国で働いた経験がある小島さんだからこそできることですね。
今は、外国人労働者の方にビジネスマナー研修を開き、日本の文化やマナーを体験してもらっています。
先ほど話していた個人テストACSは英語、中国語、ベトナム語もあるので、それも利用します。
外国人労働者と日本人労働者がお互いに働きやすい環境をつくり、末永く働いてもらう。縁あって一緒に働く人達を応援するためにも、人手不足倒産を防ぐためにも、この支援にも力を注ぎたいと思っています。

夢みることで共に働ける

現在の日本では離職が多くなるこにとより倒産する「人手不足倒産」が問題になっていますが、人が辞めない職場作りにおいてはどのような対応することが重要だと思いますか?
人が辞める時って、もちろん給料が安いなどの待遇面が悪いということもあると思うんですが、その他の理由には会社の将来性が見えない、夢を見ることができなくなったときだと思うんですよ。私は事業計画書を書くのですが、これは「3年先、5年先、会社はどうなっていたいですか?」という将来の目標や未来への夢を言語化したものなんです。

未来への夢ですか?
そうです。未来への夢です。そのためには、社長はもちろん、管理職、リーダーから徹底的にヒアリングします。自分の頭で浮かんでは消えたものを、言語化するこによって人は夢や目標を明確化できるんです。
例えば「3年先、べトナムで仕事をするようになるためには今みんなで頑張らないといけないね」とか。事業計画書という設計図を作り、会社全体で思いを共有できるんですね。夢や目標を持てると人は辞めないんですよ。
従業員が定着すると、社内の士気も上がります。
それは素晴らしいですね。離職により人手不足になり、経営は黒字なのに倒産するなんてもったいないですもんね。
本当にそうなんですね。あとは、倒産することによって、貴重な技術も失われていくという問題があります。実際私はそこの会社しか作れないという「何ミリ単位の痛くない針」が作れるという企業が、黒字倒産をしたところをみたことがあります。そこは後継者がいないため、誰も継ぐ人がいないために倒産したのですが、とても悲しかったですね。
後継ぎがいなくて倒産する、いわゆる「事業承継」の問題ですね。中小企業では、「人手不足倒産」と同じくらい深刻な問題ですよね。
針の会社は、そこでしか作れない画期的な技術が失われてしまいました。インシュリンを打たないといけない人や、医療の分野でもその針じゃないと困るという人もきっといたでしょう。そう考えるととても大きな問題だと思っています。
その問題も対応されているのですか?
そうですね。今私が取り組んでいるのは、経営者に後を継ぐ人がいない場合は、従業員の誰かを後継者にしていくことや、後を継がれるお子様がいる場合は気持ちよく後を継いでいけるような社内環境にしていくということです。
2代目、3代目の方が実際いらっしゃっていても、従業員の方とすごく仲が悪かったり、派閥があったりとかあるんですね。ですから、気持ちよく継いでもらうしくみとか、組織作りが必要になってくると思います。
そういう意味でも経営者と従業員、双方のキャリアコンサルティングは、将来的にますます重要になってくるのではないかと思っています。
従業員と経営者の問題を解決することは、日本の雇用や技術を守ることにつながっているんですね。
本日は貴重なお話を聴けて本当によかったです。ありがとうございました。
こちらも、自分の思いを整理できるとてもよい機会になりました。ありがとうございました。
【取材後記】

やわらかな物腰、そして折々に浮かべるこぼれるような笑顔がとても魅力的な女性。
これが今回の主役である小島浩子さんの第一印象だ。
しかし、その柔らかな印象とは裏腹に、キャリアコンサルタントとして経営者と労働者の架け橋となり、さらに社内環境の整備・てこ入れにも積極的に邁進する姿はパワフルそのもの。

彼女は語る。「日本の企業は様々な困難に直面しています。人手不足、後継者不足、倒産、失業、これらに伴う貴重な技術の消滅・・・・ひとつひとつは小さな点にしか見えませんが、大局的にはすべてつながっています。」「だからこそ、雇用をうみだす経営者を支え守ることは、イコール労働者を守ることにつながるのです。」
日本のため、働く人々のため、日々邁進する小島浩子さんの、今後ますますの活躍を期待したい。

インタビュアー / 江口 ひとみ