引きこもり支援の内容とは?公的機関と民間団体それぞれのメリット・デメリット
仕事に行けなくなってしまった、外に出て人と話すのが億劫、家族とすら何日も話さず自室に引きこもっている…そんな状態からなんとか脱したいと思っているけど、どこに相談したらいいのか分からないという方もいらっしゃいますよね。
ネットで調べてもどういった支援が受けられるのか分からなかったり、専門家に相談すると高額な料金が請求されるんじゃ?と不安になる方もいるかもしれません。
というわけで今回は、公的機関と民間団体の引きこもりの支援、それぞれのメリットデメリットをまとめてみました。
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目次
引きこもり支援とは
引きこもりの支援とは、実際にどういうものなのでしょうか?
原因やきっかけは人それぞれですし、コンビニには行けるけど仕事には行けない、そもそも部屋から出ることすらできない、など状態も人によって違いますよね。
脱却のゴールはしばしば「仕事や学校に行けるようになること」と捉えられがちですが、かならずしもそうとは言い切れません。
引きこもりからの復帰とは社会とのつながりを持ち孤立しないことではないでしょうか。
そう考えると引きこもりの支援とは、なによりも他者との関わりが重要となってくるのです。
引きこもりの回復には段階がある
引きこもりからの復帰には平均して2~3年かかるといわれています。
劇的に回復することはなく、少しずつ段階を踏んで社会への適応力を取り戻していきます。
また、長期的な問題となりますので当事者だけではなく支援する側の家族もケアを受ける必要があります。
家族へのケア
引きこもりの当事者は、社会に対する不安と家族に対する罪悪感を抱えていることが多いです。
そんなときに「はやく働いて」「頑張って」などとよかれと思ってした声掛けが逆に本人を追い詰めてしまうことも。
まずは家族が引きこもりについての知識と理解を深め(場合によっては対応を改め)、信頼関係を築くことが先決です。
本人へのアプローチ
引きこもりからの脱却にはなによりも家族間で対話できることが大切です。落ち着いて話ができるようになれば、家族以外の人とも話してみようと思ってもらえるでしょう。
外出が難しい場合は自宅に訪問しサポートしてくれる機関もあります。なにより本人に一番負担のかからない方法を取るのがベストです。
同じ気持ちを抱える当事者たちの場に参加する
自分と同じ引きこもり経験をもつ人たちの集まる場などを利用しましょう。外に出る訓練にもなります。
“そういう場”だからといって無理に気持ちを話す必要はなく、ただ安心できる場所に参加を続けることで知らない人がいる場所にも少し慣れるでしょう。
また家族以外からさまざまな情報を得ることで他者との関わりをもつこともできます。
個々のペースにあわせた社会参加
仕事や勉強など、何かを始めたいと思った場合は地域若者サポートステーションなどを利用して少しずつ社会復帰への準備を始めていきます。
目標を大きく持つのもいいですが、まずは小さなことからひとつずつ確実にこなしていくことが自信へと繋がります。
焦らずゆっくり、一歩一歩進んで行きましょう。
引きこもりの段階によって利用する支援機関を変える
引きこもりの段階は人によってさまざまですので、状態によって利用する支援機関を変えていく必要があります。
「どこに相談したらいいのかわからない」と思ったら、まずは地域の引きこもり支援センターを利用しましょう。
引きこもり支援センターとは
厚生労働省が管轄する引きこもり支援センターは平成29年に行われた引きこもり対策推進事業により設置された引きこもりに関する相談の第一窓口です。
先ほど述べましたように引きこもりには段階があり、またゴールも人によって異なります。
そのためまずは各都道府県に設置された引きこもり支援センターに相談し、対応に適した関連機関を紹介してもらうところからスタートします。
都道府県別引きこもり支援センター行政窓口一覧:KHJ全国ひきこもり家族会連合会
厚生労働省が行う「引きこもり対策推進事業とは」
引きこもり対策推進事業が創設されたのは平成21年。
それまでは精神保健福祉、児童福祉、ニート対策などで引きこもりの相談を引き受けていましたが、引きこもりに特化した相談窓口を作ることで関連機関との連携も含め支援を求める人たちの対応にあたっていました。
しかし対象となるのは15歳~39歳までと年齢制限があり、支援の対象とならない40歳以上の引きこもりには支援の手が届いていませんでしたが、平成30年に初めて行われた40~64歳を対象とした調査において全国に61.3万人もの引きこもりがいることが発覚。
40歳以上の引きこもりに関しては平成30年から生活困窮者自立支援センターが相談窓口となっていますが、まだまだ行政の対応が整っていないのが現状といえるでしょう。
支援に携わる専門家・連携する関連機関
まずは各地に配置されている引きこもり支援コーディネーターが第一の窓口となり、引きこもり当事者や家族から電話や来所による相談を受けます。
その後訪問支援などを行いつつ、自立に向け状況に応じて適切な関連機関と連携を取ります。
引きこもり支援コーディネーター
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 臨床心理士など
保険医療機関
- 医療機関
- 保健所
- 保健センター
就労関係
- 地域若者サポートステーション
- ハローワーク
- 障害者雇用促進関連施設
福祉・行政関係
- 福祉事務所
- 市区町村窓口
- 地域包括支援センター
- 児童相談所
- 福祉施設
- 精神保健福祉センター
- 発達障害支援センター
- 子ども・若者総合相談センター
- 自立相談支援機関
教育機関
- 学校
- 教育委員会
民間団体
- 家族会
- NPO法人
- 民間カウンセラー
※厚生労働省HPに記載されている引きこもり地域支援センター設置運営事業の内容を元にしています。
公的機関と民間団体の違い
公的機関と民間は具体的にどう違うのでしょうか。それぞれを利用するメリット・デメリットを確認していきましょう。
公的機関のメリット
まず第一に挙げられるのが無料で相談できるという点。
- 15歳~39歳まで:引きこもり支援センター
- 40歳以上:生活困窮者自立支援センター
年齢によって相談先は変わりますが、公的機関なので安心して相談することができます。
公的機関のデメリット
30代までの若年層には幅広い支援への取り組みができていますが、中高年への対策にはまだまだ行政の制度が整っていないというのが現状です。
平成30年の調査によってやっと国も支援に向けて動き出したため隅々まで支援の手が行き届いておらず、人手不足の問題もあります。
ただ待つだけでは国もどういった支援が必要なのか把握できず動けないという可能性もありますので、当事者やその家族が声をあげる必要があるかもしれません。
またどうしても表面的な対応のみに感じてしまい、いわゆるお役所仕事と物足りずに民間に相談するケースも多々あります。
民間団体のメリット
民間団体を利用した場合は、費用がかかることがほとんどですが、公的機関よりも重度の引きこもり向けであることが多く、そういった団体の場合は就労よりも脱却をメインとした支援を行っています。
民間団体のデメリット
引きこもり支援ビジネス、引き出し屋など悪質な業者がまともな支援も行わずに多額の金銭を要求するケースや暴力行為を行うことも。
民間の支援団体を選ぶときの注意点
- 団体の理念や支援内容に違和感はないか
- 「早期解決」「○○先生のおかげで~」といった成功美談には要注意
- 入所型施設の場合は、事前に見学に行く
- 多額の費用を支払う前に、まずは信頼できる第三者に相談する
また、メディアの情報を鵜呑みにしないこと。テレビやインターネットの情報がすべてが正しいとは限りません。
実際、メディアに取り上げられていた民間企業が問題を起こしたケースも。
引きこもり当事者だけでなく、その家族も社会から孤立しないことが重要。誰にも相談しないまま誤った情報を信じ込んでしまったり、冷静な判断ができなくなっている可能性があります。
東京新聞:ひきこもり便乗許さない 「引き出し屋」被害続出 排除へ実態調査:社会(TOKYO Web)
引きこもりの支援について:まとめ
引きこもりの回復には段階があり、また復帰には時間がかかります。
復帰には当事者だけでなく家族の理解が必要となってきます。
支援を求めたときに考えられる問題点としては、相性の合うカウンセラーなどの専門家に出会えるまで時間がかかるかもしれないということ。
合わないなと感じたら、違う担当者や別の支援機関を利用してみるのもおすすめです。
- 相談しても意味がないのではないか
- 冷たくあしらわれるのではないか
- 相手にされないのでは
- 働けと言われるだけでは
相談に行くまでは、このような不安がいくつもつきまとうかもしれません。ですが行動に移さなければ何も変わりませんし、引きこもりの長期化は精神的・経済的にもリスクが高まるだけです。
当サイトでもメールで相談を受け付けています。
まずは、前に進むための第一歩として第三者に頼る勇気を持ってください。
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