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どうすればいいの?同僚間のパワハラへの対策法 具体的な事例も

どうすればいいの?同僚間のパワハラへの対策法 具体的な事例も

パワハラ問題の中でも、大きなテーマの一つが同僚間のパワハラです。

パワハラと言えば、偉い人がその権力を傘に行うイメージを強く持たれるのではないでしょうか。しかし、同僚間のいじめや嫌がらせ、これもパワハラに含まれるのです。

本記事では、職場で起こる同僚間でのパワハラにスポットを当てました。裁判判例をもとにした具体的事例と共に、対策法についても言及していきます。

同僚間パワハラの具体的な事例

同僚間のパワハラになる行為を、裁判事例から紹介します。厚生労働省ではパワハラを6類型に分類していますが、いずれも身体的・精神的苦痛が伴う嫌がらせです。

事例を確認することで、同僚間パワハラへの理解が深まり、対策も見つけやすくなるでしょう。

暴力行為

ある衣料品小売り大手企業で起きた事例です。

  1. 被害者Aはある店舗の代行店長だった
  2. Aは店長Bのミスについて日誌で指摘した(「反省してください」との文言があった)
  3. 日誌という情報共有の場での指摘に対し、店長Bはさらし者にされ、自尊心を傷つけられたと感じた
  4. 店長BはAに問いただしたが、Aの態度に激高
  5. 怒りからBはAを殴った

暴行により、被害者であるAは医療機関で診察を受け、PTSDとの診断を受けました。

  • 被害者Aは診察後、管理部長Cに対し暴行事件の報告書の開示を要求
  • これに怒った管理部長Cは被害者Aを恫喝する内容の発言(Aは診断書の提出および面談にも応じていなかった)
  • 被害者Aは店長Bと管理部長Cを告訴の後、勝訴(損害賠償を勝ち取る)

この事例では、「暴力」と「暴言」がパワハラと認定されています。しかしながら、被害者Aに完全に共感できないという方もおられるのではないでしょうか。

そもそも、ケースによっては被害者Aが日誌に記した「反省してください」などの文言もパワハラとなります。(同僚の前で傷つけるような表現になりうるため)

さらに、管理部長Cについても、問題解決のための要求には全く応じず、一方的な要求をした被害者Aに対し、怒る気持ちも分からなくはありません。しかし、それでも「暴行」や「暴言」はパワハラになります。

先輩によるパワハラ

ある土木建設会社で起こった事例です。

  1. 被害者Cは養成社員で道路工事の作業所に配属された
  2. 加害者の先輩Eは、Cが二次下請け社長の息子であることと、上司のF部長がリストラされたことを関連付けていた
  3. EはCに対し、日常的な暴言・威圧・ボールを投げつけるなどの暴力を行っていた
  4. さらに、EはCに処理しきれない量の仕事を命じ(6分類における「過大な要求」)、Cは度々残業や徹夜を強いられた
  5. 上司であるG部長は、勤務時間中にパソコンゲームに没頭し必要な措置を講じる努力を怠った

この事例の原告は、被害者Cの両親です。それは、飲酒後の加害者Eを車で送迎する途中で被害者CはEと共に交通事故で亡くなったからでした。

裁判では勝訴したものの、痛ましい結末で終わったこの事例は、不条理なパワハラには耐える必要がないことを教訓として伝えています。

目の前で起きていた同僚間のパワハラを無視した、上司についての管理責任も問われています。同僚間のパワハラは、今や組織の問題なのです。

会社の同期によるパワハラ

ある会社で起きた、同期の間でのパワハラ事例です。

  1. 加害者Iと被害者Hは入社が2カ月しか違わない
  2. IはHの上司ではないが、グループ会社の役員になることが予定されていた
  3. 同期ではあるが、Iが立場上Hよりも優位にあった
  4. その優位性を悪用して、Iはパワハラ行為を行った

具体的なパワハラ行為には、6分類に当てはまる「個の侵害」、「侮辱」、「暴言」、「名誉棄損」がありました。

  • 業務に関係のない領収書整理をさせ、従わないと暴言を浴びせる
  • 社内メールで被害者の人格を性的にも中傷する名誉棄損行為
  • 役員や同僚が集まる中で被害者に暴言
  • 業務に関係ない用件で深夜に長時間の電話を強要

当然被害者Hは勝訴しましたが、会社からの評価が高く、後ろ盾を持った人物によって同僚間のパワハラが加速したケースです。

同僚ではあるが、見えない優位性によって人間関係が形成されるのは大変デリケートな問題です。しかし、そこにパワハラ行為が存在すれば、加害者を糾弾することが可能なのをこの事例は示しています。

同僚による陰湿かつ執拗なパワハラ

ある企業で起きた、同僚間による集団の職場いじめです。

被害者の女性Jは、パワハラにより精神障害を患います。しかし、自治体から療養補償給付を打ち切られ、その取り消しのため訴訟を起こしました。
つまり、パワハラを行った加害者集団と管理責任を行った企業については損害賠償訴訟を起こしていません。
しかし、そのパワハラの内容は容易に勝訴が可能なものでした。

  1. 被害者の女性Jは、同僚の女性社員7名から長期間にわたって執拗かつ陰湿な職場いじめを受けた
  2. 男性上司(課長)から顔を殴る真似や跳び蹴りの真似といった嫌がらせを受けた(それを見ていた部長は注意していない)
  3. 加害者集団のいじめは執拗で、日常的に悪口といった誹謗中傷がされていた(人格を否定する表現は当たり前だった)
  4. 加害者集団は、勤務時間中にIPメッセンジャーを使って被害者に中傷が書かれたメッセージを送り続けた
  5. 加害者集団による職場いじめは、周りに気づかれにくい形で行われていた
  6. 被害者は上司に相談したが、会社が対応をとることはなかった
  7. 被害者Jは精神障害を発症

表現に語弊があるかもしれませんが、絵にかいたような女性間の陰湿ないじめです。男性の先輩後輩・同僚間とは質の違いが問題を複雑かつ深刻なものにしています。

被害者の受けた絶望感と精神的苦痛は、考えるだけで悲惨なものです。そして、上司や会社がなんら必要な措置を講じなかったことも、この同僚間のパワハラによる被害が深まった大きな要因でもあります。

この事例からは、被害者が会社の外の機関に問題解決の可能性を見出すアイデアがなかったことが分かります。

長期間にわたる執拗かつ陰湿な精神的攻撃によって、心理的に疲弊し判断能力が著しく低下します。同僚間のパワハラの恐ろしいところは、このような状態になると事態がより深刻化することです。

精神的苦痛がまだ軽く、正常な判断ができるうちに対応をとることが不可欠になります。

同僚からパワハラを受けた場合の対策法

具体的事例の次は、同僚からパワハラを受けた場合の対策法を見ていきたいと思います。

同僚間のパワハラの特徴は、上司のように権力や立場による優位性がないことです。
そして、上司と企業には職場を適正に管理する責任があります。したがって、加害者からの報復やその後の職場環境の変化を恐れず、パワハラ被害を訴えることができるのです。

ハラスメント窓口への相談

パワハラが社会問題化するに従い、企業の多くは人事部や総務部にハラスメント窓口を設置しています。

組織の問題となったパワハラは、職場環境を悪化させる要因です。放置すれば、経営の視点でもハラスメントの視点でも企業に損害が出ます。
営利を追求する企業にとって、同僚間のパワハラも無視することは到底できない問題なのです。

具体例でも触れましたが、被害がまだ軽いうちに窓口に相談することをお勧めします。些細な問題であっても、企業側も敏感になっているので真剣に対応してくれることでしょう。

上司・先輩・同僚に相談

これは、比較的軽度の同僚間のパワハラに有効です。なぜなら、深刻さが増している場合、先輩社員や上司は傍観か加担しているケースがほとんどだからです。

しかし、被害がまだ軽く、モラルに富んだ人物が多い職場なら有効な手段でしょう。直属の上司があてにならない場合は、より上位の上司や他部署の上司に相談してみるのもいい方法です。

正常なモラルを持った人物を見極めることが重要ですが、より多くの人物から意見を得ることでいいアイデアが見つかるかもしれません。

弁護士や警察など社外の機関に相談

同僚間のパワハラが深刻さを増した場合、会社内の人間は信用できない状況に陥ります。いくら相談しても対応してくれない会社に対し、失望と絶望感を深めることでしょう。

味方がいない状況になると、被害者は「自分に否があるのかもしれない」と考えるようになり、悪循環に陥っていきます。確かに、トラブルには相互に問題があるのは否定できません。それでも社会的な秩序として、同僚間のパワハラは許されるものではないのです。

悪循環に陥る前に、都道府県労働局、もしくは弁護士や警察といった社外の機関に相談すると良いでしょう。その場合、被害をしっかりと記録して、まとめておくことが重要なポイントです。被害内容や困っている事が曖昧だったり伝わらないと、相談された方も適切な対応を取れないからです。

訴訟

上記の手段で解決できないときは、訴訟を検討すべきでしょう。訴訟を検討しなければならない状況とは、もはや深刻な被害が出てしまった時ばかりです。

この場合、勤めている職場でその後も快適に過ごせる可能性は高くないかもしれません。それは、加害者だけでなく管理・監督を行った会社にも責任が及ぶからです。おそらく訴訟を検討した時点で、会社に対する不信感は払拭できないレベルになっているでしょう。

転職を検討する必要がありますが、それ以上に人間の尊厳は重要です。事例でも触れました通り、「我慢すれば…」という心理が悲惨な結末を生んでいます。

深刻な被害を出すパワハラ加害者は、正常なモラルを持っていません。係争に発展するまで、彼らが自らを省みることはないでしょう。

同僚間パワハラの本質は大人のいじめ

同僚間のパワハラとは、職場いじめと同じ意味です。率直に申し上げれば、これは単純に大人のいじめです。

このような同僚間のパワハラが社会問題化しているのは、とても悲しいことです。しかし、被害に遭った場合は過小にそれを見てはいけません。

職場のいじめにも一切正当性はない

互いの意思・意見・価値観が食い違った時、議論や対話で問題解決を図るのが社会秩序を守るための正しい方法です。

同僚間のパワハラもいじめも、これには全く当てはまりません。そこには相手を傷つけるためだけの悪意だけがあり、被害者の尊厳を著しく損なう行為がなされているからです。

加害者は利己的で醜悪な思考で正当化しますが、そのように人間の尊厳を傷つける行為は誰にも許されません

いじめと同様に同僚間パワハラの基準も被害者の感じ方

パワハラ6分類は、同僚間のパワハラを判断する客観的根拠になります。しかし、それ以前に被害者が精神的・身体的苦痛を感じるかがパワハラの決め手です。

不愉快だと苦痛だと感じているのなら、それは同僚間であってももはやパワハラなのです。この問題について重要なポイントは、「我慢しないこと」です。同僚間のパワハラが許される場は、社会には存在しません。毅然とした態度で対応しましょう。

同僚間のパワハラについて:まとめ

同僚間のパワハラについて、具体例と対策法を紹介しました。

同僚間のパワハラは、職場いじめであり、単純に大人のいじめです。醜く恥を知らない幼稚な行為には、毅然とした姿勢で対抗しなければなりません。

同僚間のパワハラは職場で起こります。その解決は、上司の責任であり、会社の責任でもあるのです。職場いじめのような同僚間のパワハラの放置は、企業に社会的責任が課されます。

「自分が我慢すれば…」、「自分が悪いんだ…」、このように考えないでください。我慢を続けることが深刻な事態を招きます。

同僚からパワハラを受けたら、上司や先輩に相談しましょう。それが不安なら、会社のハラスメント窓口、もしくは社外の機関に相談するのをお勧めします。


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