この言葉はパワハラになる?具体的な事例と今すぐパワハラから脱出する方法
「どんな言葉がパワハラになるの?」
「パワハラの具体的な事例は?」
「パワハラにはどう対処すればいい?」
近年社会問題となっている「パワハラ」は誰もが被害者&加害者になり得ますが、具体的に何をしたらパワハラになるのか基準を把握できていない人も多いです。
何気ない一言や行動が相手からパワハラと非難される恐れも。パワハラの知識や判断基準が分かればパワハラは避けられます。
本記事では、安心して職場での生活を過ごすためパワハラに該当する言葉・行為や具体事例、パワハラ被害者が今すぐパワハラから脱出する方法を詳しく解説していきましょう。
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目次
パワハラとは
「パワハラ」とは「パワーハラスメント」の略称。「パワーハラスメント」とは、職場での地位や権力を利用した嫌がらせ全般を指します。
パワハラ行為によって精神的・身体的苦痛を受けた被害者により、全国的に訴訟に発展する事例も増え、社会問題化しました。
さらに、「パワハラ」が広まった当初は、上司から部下に対する嫌がらせのイメージが強くありました。
しかし、近年では部下から上司に対する「逆パワハラ」とも呼ばれるパワハラ、そして同僚同士によるパワハラも増えています。
そのため、「地位や権力を利用した」パワハラだけではない認識に変わってきています。
パワハラに該当する行為
厚生労働省は、パワハラに該当する行為について、6類型に分類しています。
①身体的な攻撃
- 暴行
- 傷害
②精神的な攻撃
- 暴言
- 侮辱
- 名誉棄損
- 脅迫
③人間関係からの切り離し
- 無視
- 仲間外し
- 隔離
④過大な要求
- 業務の範囲を超えた過大な要求の強制(できないと分かっていることを無理やりやらせようとする)
- 業務上明らかに不要なことを強制する
- 仕事の妨害をする
⑤過小な要求
- 業務上の合理性なく、能力と経験からかけ離れた程度の低い仕事を強制する
- 仕事そのものを与えない
⑥個の侵害
- プライベートな事柄に、過度に立ち入る
- プライベートの交友関係や交際相手について詮索してくる
- 個人的なSNSに接触してくる(ソーシャルハラスメント)
- 有給休暇の理由についてしつこく質問し、意にそぐわなければ申請を拒否する
- 休日や休暇の過ごし方についての過度な詮索
- プライベート全般についての過度な詮索
④過大な要求、⑤過小な要求、⑥個の侵害については、特に「上司→部下」の職場での地位や権力の優位性を前提にしたパワハラ行為に該当します。
一方、①身体的な攻撃、②精神的な攻撃、③人間関係からの切り離しについては、「上司→部下」だけでなく、「部下→上司」や「同僚→同僚」と、地位や権力の優位性がない関係でのパワハラ行為にも該当します。
職場いじめとパワハラの違い
パワハラの「ハラスメント」とは、「嫌がらせ」。
しかし、具体的なパワハラ行為を確認してみると、「いじめ」と変わらない行為が含まれています。
パワハラとは「職場のハラスメント」
実は、「パワハラ」や「パワーハラスメント」は和製英語です。英語で「パワハラ」は「Workplace Harassment」と表記されます。意味は、「職場のハラスメント」です。
つまり、「パワー」といった地位や権力に関するパワハラだけでなく、職場や雇用の場で起こる嫌がらせ全般の認識になります。
したがって、職場において、上司と部下だけでなく、先輩と後輩、そして同僚間の嫌がらせも「パワハラ」に含まれます。
「パワハラ」が広まった当初は、「職場の地位や権力を利用していないか」や「業務の適正な範囲か」の点がパワハラ認定の基準でした。
しかし、近年ではその範囲は「職場のハラスメント」に広がっています。
「パワハラ」は職場いじめと同義かその一部
「職場いじめ」は職場で起こるいじめや嫌がらせを指しますが、これには「モラハラ(精神的嫌がらせ)」や「セクハラ(性的嫌がらせ)」も含まれます。
いじめ加害者に上司や会社も含まれる場合、「職場いじめ」は「パワハラ」と同じです。
例えば、同僚間でいじめがあり、上司が必要な対策を講じなければ「パワハラ」となります。
また、上司も加担し、それを会社が「適切な指導」と庇えば、これもまた「パワハラ」です。
「パワハラ」と「職場いじめ」には明確な線引きがなく、「パワハラ=職場でのいじめや嫌がらせ」と言えるでしょう。
グレーゾーンのパワハラ
社会問題化し、明確な概念もある「パワハラ」。それでもパワハラが減らないのは、グレーゾーンがあるからです。
このグレーゾーンは、被害者側が抱えている問題です。被害者にとって、パワハラと訴えられるか判断に困るのがグレーゾーンの厄介な点だからです。
例えば、上司から注意を受けている際、「業務の適正な範囲」での指導なら問題ありません。
しかし、ごく一部に、「能力がない」などといった侮辱する言葉があった場合、その一言だけを取り上げて、被害者は訴えづらいでしょう。
このように、明らかなパワハラ行為については問題について周知が進む一方で、「業務の適正な範囲」にパワハラ行為が紛れ込むケースが存在します。
パワハラはその性質上、被害者が訴えづらい問題があります。パワハラのグレーゾーンは、この性質と合わさり、問題が顕在化しにくい状況を作っているのです。
グレーゾーンを放置すると、悪用する加害者も現れます。未然に防ぐためには、パワハラの規定について各職場での明確化が不可欠です。
パワハラと認められた具体的な事例
パワハラの概念について触れました。加えて、パワハラの具体的な事例についても見ていきましょう。
暴言やメール
職場での暴言や、嫌がらせとなる内容のメールを送るとパワハラと認定されます。
~ある保険会社での裁判事例~
- 被害者であるAさんはエリア総合職で課長職で課長代理だった
- 上司のB氏は、ノルマ到達を叱咤激励する内容のメールをAさんと他の従業員にも送信
- しかし、そのメールには「(Aさんに)やる気がないなら、会社を辞めるべき」、「会社の損失」といったAさんを侮辱する内容の文言が含まれていた
判決は、損害賠償5万円でAさんの勝訴でした。裁判所は、B氏に明確なパワハラの意図は認められないとしながらも、Aさんの名誉を棄損する内容であったと結論づけています。
職場からの切り離し
人間関係からの切り離し、仕事を与えない、隔離といった行為もパワハラとなります。
ある高校で起きた裁判では、被害者の女性教諭Cさんに対し、学校側の「精神的な嫌がらせ」「人間関係からの切り離し」「過小な要求」といったパワハラ行為が指摘されました。
- 授業と担任からの仕事外し
- 職員室内での隔離
- さらに別室に隔離し、4年半に渡り仕事を与えない
- 5年以上の自宅研修命令
- 不当な賃金に対する措置
これらの被害を受けたCさんは学校法人に勝訴し、学校側には600万円の支払いが言い渡されました。
不当な解雇
職場上の地位や権力を利用した、従業員の不当な解雇もパワハラと認定されます。
事例1:介護職員に対する不当解雇
介護職員であった被害者のDさんは、「笑顔がない」ため勤めていた病院から解雇されました。
裁判により、この解雇には「業務上の合理性」が認められず不当解雇とみなされました。
事例2:妊娠を理由とした退職と解雇の強要
ある幼稚園に勤務していた、被害者である女性教諭のEさんは、妊娠を理由に園長から退職と解雇を強要されました。
妊娠が分かった際には、園長は避妊を含めたEさんの自己管理について非難しています。さらに、園長はEさんに対し、中絶も迫りました。
Eさんは、園長のパワハラ行為と退職・解雇の強要に対し、園長と幼稚園を訴えました。結果は勝訴しましたが、裁判では幼稚園側とEさんの価値観のギャップも分かっています。
幼稚園と園長側の考えは、「未入籍の教諭は担任を持っている間は妊娠してはならない」。
これは幼稚園全体で周知されており、Eさんが反したため園長は過剰とも思える行為に出たようです。
幼稚園は私立だったため、育休期間中の臨時教員を雇えない財政事情もありました。
幼稚園と園長側にも主張はありましたが、その行為は法的にパワハラと認められています。
パワハラの判断方法と基準
何がパワハラであるかを理解しても、実際に職場で判断するのは簡単ではないでしょう。
パワハラは、「相手がどう感じるか」が重要です。加害者側は正しいと思っていても、被害者が「パワハラだ」と感じればパワハラになってしまいます。
それでも、日常でパワハラを避けるための方法はあり、判断の仕方や基準をまとめました。
職場の地位を利用していないか
「職場での地位や権力を利用する」のはパワハラの基本です。
もし部下を持っている場合、常に自分が職場の地位を利用して部下にプレッシャーをかけていないか注意する必要があります。
日常の何気ない一言であっても、部下にとっては悪意と受け取られかねません。そのためにも、侮辱や暴言となる可能性がある言葉は避けるべきでしょう。
業務の範囲を超えた過大な要求をしていないか
部下に対し、過大あるいは過小な要求をしていないかも気を配らなければなりません。
過小な要求には、仕事外しや仕事を与えない明らかなパワハラが多くありますが、特別な悪意がなければこちらは容易に避けられます。
難しいのは過大な要求です。部下を見込み、成長を促すために少し大きな要求をするケースは大いにあるでしょう。
多少の負荷は成長のためには仕方ないと考えている上司は要注意。根性論の要求が部下にとっては「嫌がらせ」になりかねません。
負荷をかけずにどのように成長させるかは、難しいテーマです。ただ、パワハラを避けるためには、過大な要求について注意深く認識しておく必要があります。
精神的・身体的苦痛の有無
パワハラとは「職場のハラスメント」であり、「職場でのいじめ、嫌がらせ」です。
パワハラの大きな判断材料は、被害者の精神的・身体的苦痛の有無。
身体的苦痛は暴力などによってできたあざや傷となるので分かりやすいかもしれません。
しかし、精神的苦痛が影響して身体的変調をきたす場合もあります。
パワハラによって起こる被害は、精神的苦痛が最も大きいでしょう。それをなくすには、相手の気持ちを思いやる、想像する基本に立ち返らなければなりません。
「これをしたらどう思うだろうか」、「こう言ったらどう思うだろうか」と、行動・発言の前に相手の気持ちを考えましょう。
パワハラ被害者の早期パワハラ脱出法
パワハラを「我慢する」「耐える」のは大きな間違いです。
精神的攻撃を受け続ければ正常な判断能力を失います。その前に、適切な対策を講じて解決しましょう。
第三者や窓口、公共機関に相談
- 上司・先輩・同僚
- 人事部や総務部のハラスメント窓口
- 都道府県労働局or労働基準監督署の総合労働相談コーナー
会社内にパワハラがあれば、通常は企業が組織の問題として解決しなければなりません。
同じ職場で働く仲間や会社の窓口に相談して対応してもらうのが一番ですが、会社がパワハラを軽視し相談しても解決しないようなら、社外に目を向けるのも一つの選択肢です。
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どこに相談してもパワハラが解決せず、パワハラが理由での退職も会社に言い出しづらい人も多いです。
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